3年間の山奥田舎暮らしでは、たくさんの出会いに恵まれ、一人だけど多くの人の支えの中で生きる心強さを知りました。
それまでの私は、「人間関係って煩わしい。だから一人のほうが楽」という価値観。
人の支えで生きることを知るまでは、一人で居ることの心地よさを、そんな風に考えていたのかもしれません。
前の記事:山奥秘境!おひとり様ライフの冒険と、人と助け合う暮らしの魅力
山奥暮らしでの気づきと街への帰還
山奥暮らしでは、誰かと支えあわなければ生きられないこと、この環境では一人では生きられないことを痛感した反面、その現実を前に、少し疲れながら私は街に戻ったのです。

街に戻って間もなく、あのコロナ禍がやってきました。
それまで当たり前に会えると思っていた人たちに会えない日々。
山暮らしで出会った人や田舎への思いは、どんどん募っていきました。
介護職との出会いと孤独
田舎暮らしに戻った時に役立つと思って取った介護の資格。
本業にするつもりはなかったのですが、コロナ禍では安定した魅力的な仕事に思え、いつの間にか本格的に介護職として働くことになりました。

山奥暮らしで出会った個性豊かで智慧に溢れたお年寄りに魅力を感じて、また田舎暮らしに挑戦するとき、そんな人たちが最後まで自分らしく生きる事を応援したいという気持ちもあって就いた介護の仕事。
しかし街暮らしに戻って出会ったお年寄りの姿は自分が魅力を感じたお年寄りの姿とは少し違いました。
そして介護の世界の理想と現実の距離ははるか遠く、絶望を感じる時も少なくない過酷な現場。
それでも目の前のお年寄りに向き合いひたすら仕事に打ち込む毎日。
だけど、会いたい人にも会えず、生きたい場所にも行けない、そんな先の見えない毎日に強い孤独を感じました。
昔とはまた違う意味で、必然的に一人で行動する日々。
その孤独は、自由ではなく、寂しさとして私の心に重くのしかかっていました。
再びの移住
コロナ禍に収束の兆しが見え始めたころ、再び移住を決断。
今度は介護職として、しかし場所はあの山奥ではなく実家との中間の町を選び、どちらとの距離も保ちながら生活しようと思いました。

でも、その町は私の肌には合いませんでした。
そこは田舎でもなく都会でもない場所で山奥ほど支えあいが必要なわけでもなく、かといって街ほど放っておいてくれる感じでもなく、自然に溶け込むこともできず、1年ほどでまた実家に戻ってしまいました。
その町で自由にできる環境にも関わらず、自由を感じられず、一人で居ることが虚しい気持ちさえ生まれました。
そしてもう、一人で居ることが当たり前になりすぎて、誰かに合わせることすらできなくなってしまったのです。
でも今になって思うと、その町がどうとか職場がどうとかではなく、山奥から帰って町で暮らしていた2年のうちに自分自身の中に人と純粋に関わろうという気持ちがなくなっていたのだろうと思うのです。
再移住する前に、私の心は消耗して山奥暮らしの時に開いた私の殻はすでに閉じていたんだろうと思うのです。
それが、再移住したのをきっかけに完全に閉じました。
完全な独りぼっちと気づき
再び実家に帰ってきた私は、自分の時間と空間に他の誰かが居ることが苦痛に感じられるほどでした。
そのうち家族と居ることさえも苦痛に感じるようになってしまった。

本当に独りぼっちになったのだと、実感しました。
そこからは、常に一人で行動するようになりました。
人を誘わず、人に合わせず、職場でも無理に人間関係を築こうとしませんでした。
でも、そうやって一人を貫き続けるうちに、誰の目も気にならなくなり、一人で居ることにコンプレックスを感じなくなりました。
純粋に、自分だけの時間と空間を守り続けることで、自分の好きなことに没頭する自分がそこにいました。
自由な心地よさに気づく
長く苦しい時を抜けたとき、一人で居ることに、心から自由な心地よさを感じる自分に気づきました。
もう何も恐れることはなく、一人で楽しむ時間を大切にしたいと心から思えるようになったのです。

ずっと思い焦がれていた山奥での暮らしや、人との思い出にも、もう会わなくても大丈夫だと思えるようになりました。
それは決してあの山奥や人を嫌いになったわけではなく、あの頃感じた人の温かさが本物だったと確信できたからです。
今の自分は、それを経て強くなったのだと感じています。
新しい冒険と自分らしさ
それ以降、もっといろんな場所に行きたいと思うようになり、
一泊二日で行ける範囲の旅でも、自分へのご褒美として楽しむようになりました。

山登りも一人で行っていたけれど、旅行ではまた違った楽しみを感じます。
山登りは修行のような感覚でしたが、旅行は冒険です。
一人であることを肯定できるようになったことで、特にパートナーも欲しいと思わなくなり、
服も100%自分ウケのものがいいと思えるようになりました。
美味しいものを一人で食べ回ってるうちに太ってしまったのですが、頑張って痩せようとも思わなくなり、今はサイズの合う服を自分で作る楽しみへと発展しています。
そして家族とも程よい距離を保てるようになり、距離を持つことに罪悪感も持たなくなりました。
自由な生き方の実感
仕事での人間関係も、素直に割り切れるようになりました。
好きな人は好き、そうでない人はそう、と。
人の機嫌を取ったり、好かれようとすることもなくなりました。

もちろん、まだストレスや迷い、悩みもあります。
でも、精神的に自由を感じられるようになり、ようやく人生を楽しむフェーズに到達したのかなあと思っています。
これからのおひとりさまライフ
こうして今は「おひとりさま」を楽しんでいます。
改めて振り返って書いてみましたが、私は「ひとり」というテーマにずっと向き合ってきたんだなあと思いました。
孤独に感じる時期もあったけど、それを経て今は「おひとりさまは楽しいぞ!」と心から思えるようになりました。
同じように、ひとりでいることに悩んだり迷ったりしている人がいたら、少しでも気持ちが軽くなるきっかけになったらいいなと思うし、私の事も「なんかこいつ面白そうだな!」と思ってもらえたら嬉しいです。
次はもっと日常的なおひとり時間の楽しみ方について書こうと思ってます。ではまた!

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