長野県には、絵本や童話に特化した美術館がなんと11館ほどもあるそうです。
全国的に見ても、絵本専門の美術館は100件未満とされている中で、これは驚くべき数字。
そもそも長野県は美術館の数が非常に多く、総数は300件を超え、東京を抜いて全国1位なのだとか。
自然豊かな土地柄もあって、避暑地としての人気が高く、観光で訪れた際に静かな森や湖のそばで美術を楽しむ──そんな体験がぴったりと馴染む地域なのかもしれません。
私が絵本に惹かれるようになったきっかけも、実は長野県に住んでいた頃に訪れた「イルフ童画館」での出会いでした。
「かがくいひろしのせかい展」を見たときの衝撃は、今でも忘れられません。
岡谷市「イルフ童画館」とは?

諏訪湖のほど近く、冬には「御神渡り」で知られる岡谷市にあるのが「イルフ童画館」。
正式名称は「日本童画美術館」で、岡谷市出身の童画家・武井武雄氏の記念館でもあります。
「イルフ」という名前は、「古い(ふるい)」を逆さに読んだ造語。
武井氏は“古いもの”に新しい価値を見出すという意味を込めて、この言葉を使ったそうです。
館内の展示と魅力

館内では、武井氏の童画・版画・刊本作品を中心に、国内外の絵本作家やイラストレーターの作品も展示されています。
年に5〜6回ほど企画展が開催されていて、最近では「コウペンちゃん展」が開催されます。
武井武雄の絵は、幾何学的でモダン。
どこかアール・デコを思わせる洗練された雰囲気の中に、ナンセンスなユーモアや言葉遊びがちりばめられていて、子どもも大人も思わず笑ってしまうような仕掛けがあります。
彼が特にこだわったのが「本の美しさ」。
刊本作品シリーズは、紙の質感、綴じ方、函のデザインまで自ら設計した“本の宝石”とも言える存在です。
豆本やトランプ、玩具なども展示されていて、素材の自由さと遊び心が感じられます。
館内には、武井作品の豪華なタイル壁画もあり、建物全体でその世界観を味わえます。
インテリアとしても武井作品は非常に相性がよく、ミュージアムショップではその絵をモチーフにした雑貨が豊富。
モダンな作風が雑貨になるととってもオシャレで、つい手に取りたくなるものばかりです。
子どもも大人も楽しめる空間
館内には、子どもたちが自由に絵本に触れられるフリースペースもあり、お子様連れでも安心。
また、武井作品の『ラムラム王』をモチーフにした「カフェラムラム」も併設されていて、作品をイメージした限定メニューや信州食材を使った料理も楽しめます。
童画界のリーダー
私の中で「イルフ童画館」は、童画界のリーダーとしての気概を感じる施設。
日本だけでなく世界の童話や絵本作家の企画展も豊富で、展示ボリュームもあり、非常に見ごたえがあります。
また、日本童画大賞というものも主催しており、新しい作家さんたちのチャンスの場ともなっています。
童画というものに、ただ子どもをあやすだけではない美術としてのプライドを感じると同時に、
子どもという輝く宝石たちの心を刺激する、広く深い感性を引き出す美術館だと感じました。
岡谷市は「童画の町」
岡谷市は「童画の町」として、電灯や壁画など市内のいたるところに武井武雄の作品をモチーフにしたものが見られます。
特にイルフ童画館のすぐそばにあるショッピングセンター「イルフプラザ」では、武井氏の童画の壁画がたくさん。
飲食店もあるので、美術館の後に立ち寄るのもおすすめです。
イルフ童画館近くのおすすめスポット
岡谷市はコンパクトながらも飲食店などの魅力が詰まっています。
イルフ童画館に立ち寄った際におすすめのスポットをご紹介したいと思います。
昭和レトロなファミレス「さんれーく」
昭和のファミレスは休日に家族でお出かけするちょっといいレストランだったはず。
そんな古き良き時代を感じさせる、令和の時代においては非常に貴重な存在です。
外観はちょっと寂れた感じもあるのですが、店内はオールドアメリカンな本格的インテリアになっていてちょっと感動します。
メニューも王道の洋食メニューから和食もあり、丁寧な手作り感のあるお料理です。
お店の方の接客もとても落ち着いていて素敵です。
地元の方に愛される良いお店だと思います。
お土産にぴったり「ヌーベル梅林堂」
岡谷市の銘菓といえば「くるみやまびこ」でございます。
そして、「ヌーベル梅林堂」さんはイルフ童画館のすぐそばにあります。
「くるみやまびこ」とは 信州八ヶ岳山麓でとれる新鮮な牛乳を使ってじっくり煮込んだ特製くるみキャラメルをサクサクのクッキーで包んだお菓子です。
岡谷市のお土産といえばコレ!という代表的なお菓子となっております。
ですが!もちろん「くるみやまびこ」は間違いなく美味しくておすすめなのですが、
私的に推したいお菓子があるのです。

これ、「万治の石仏」といいます。かわいいでしょ。
「万治の石仏」というのは諏訪大社春宮のちかくにあるミステリアスな石仏です。
とてもユーモラスなお姿であの岡本太郎も推し!とのこと。
そんなキュートな万治の形の最中の中に「くるみやまびこ」と同じくるみキャラメルがたっぷり入ったお菓子なのです。
童画を楽しんだ後のお土産にはこんなかわいいお菓子がすごく良い感じかなと思います。
ちなみに万治の他にも全6種類となっています。
諏訪大社の春宮も万治の石仏もイルフ童画館から割と近いエリアにあるのでお勧めです。
人気のパン屋さん「ましぱん」「ブーランジェリーあるとふぁごす」
岡谷市内のパン屋さんで私が好きなのはこちらの二軒です。
この二つのパン屋さんは全く個性の違うパン屋さんでございます。
ましぱん
国産小麦と自家製酵母のパン屋さんという事でこちらのパン屋さんの魅力はザ・ナチュラル!
まず、とにかくパン生地そのものがとても美味しい。ソフトすぎずハードでもなくもっちりとして小麦そのものが美味しいんだなと実感するパンです。めちゃくちゃ原材料にこだわっているようです。
そして季節のフルーツを使ったスイーツ系もや地元野菜を使った総菜系もお味がいい。
とっても良い意味で「日本のパン」という感じがしました。
ブーランジェリーあるとふぁごす
こちらはハードパンとデニッシュがメインのパン屋さん。
ヨーロピアンな感じで、なんというか店主さんのパンへの哲学を感じさせるお店です。
ハードパンはパリッと、ザクっと、デニッシュはバターの香りがしてパリパリっとして。
私はクロワッサン好きなのですが、こちらのクロワッサンは外はパリパリ、中はしっかり空洞ありで最高でした。他にはバゲットのサンドイッチも美味しかったです。いいお店です。
自然を満喫できる「やまびこ公園」

ここはお子様連れにはもちろんの事、おひとり様にもおすすめですよ。
まず自然がたっぷりで気持ちがいい、季節の花々や木々の間をお散歩したりサイクリングもできます。
子どもたちに混ざって遊具で遊んだっていいでしょう、子供たちに引かれない程度に…。
そして、展望広場はぜひ行ってほしいです、諏訪湖や八ヶ岳まで一望できる絶景スポットです。
そして、岡谷は童画の町という事を感じられる可愛いモチーフがベンチや遊具などいたるところにデザインされているところもお楽しみポイントです。
ちなみに私はここで散策中にカモシカに遭遇したことがあります。平日など人に少ない時に行く場合は野生動物にご注意くださいませ。
まとめ:岡谷市もっといろいろあるよ&企画展について
というわけで、長野県岡谷市の「イルフ童画館」そして近隣のおすすめスポットについてご紹介いたしました。
岡谷市、実はまだまだお勧めしたいスポットがあるのですがそれはまたの機会に改めてまとめたいと思います。
次回は、イルフ童画館で観た「かがくいひろし展」と「長谷川義史展」についてご紹介します。
絵本作家それぞれの世界観がどんなふうに展示されていたのか、また、各作家のおすすめの作品など私なりの感想も交えてお届けしたいと思います。
ではまた!
コメント